聞き読みについて

初稿:2009年5月12日

最終更新日:2009年5月12日

聞き読みって、なに? 聞き読みシャドーイングって、なに?

原文を見ながら、その朗読を聞きます。聞きながら読むから、聞き読み・・・
さらに、聞き読みをしながらシャドーイングをすると、聞き読みシャドーイング!

実にすっきり明快ですね。

聞き読みで、どうなる?

1.これまではとてもむずかしいとされてきたリスニングが非常にはじめやすくなります。
   (下の「聞き読みの原理」を参照してください。)

2.どうしても飛ばし読みができない、日本語訳しながら読んでしまうという場合、
   朗読に引っ張られるので、読むようになるはず。
   (それでも訳してしまう「剛の者」もいますが。)

3.うまくいけば、音と字の関係がつかめてくる!
   (聞き読みよりも、聞き読みシャドーイングをすると関係把握が加速される可能性は大
   だと思われます。)

聞き読みって、あまり聞いたことも読んだこともないけど・・・?

これまで、聴解とかリスニングというと、イヤホンをした耳に両手を当て、眼をつぶって必死で聞き取るものでした。ところが、多読的リスニングはいたって気楽です。多読の絵本にあたるものは多読的リスニングではDVDですが、幼児向けのOswaldからはじめます。Miffyでもいいでしょう。要するに必死で「聞き取ろう」としなくても、映像だけでほとんどわかるDVD、あるいはよく知っている話の朗読CDやMP3版からはじめます。

多読から聞き読みを通って多聴へ?

ところがDVDはなかなか手に入りにくい面があります。(「ふ~ん」さんがその辺をなんとかしようと奮闘中。将来は図書館にtadoku用DVDが揃うといいのですが)

その点、CDつきの多読本ははるかに手に入りやすい。そしてこれまでの「聴解」にくらべてはるかに入りやすい! なにしろ聞き読みは聞き取るも何も、文章が目の前にあるので、「聞き取ろう」と集中する必要がない! つまり、多読的リスニングをはじめるのに、やさしさの面でも費用の面でも非常に敷居の低い入り口が「聞き読み」だというわけです。

もう一つ、有利な点があります。映像だけで楽しめるDVD素材には幼児向けが多いので、おとなはつまらないと感じることがあります。その点、聞き読みなら、いまあなたが楽しんでいる多読素材よりも少しだけ長くて複雑な展開の本を楽しめる可能性があります。こども向けはもうたくさん、という人も満足できる可能性が高くなるわけです。 「読めるレベルよりも上の素材を聞き読みで楽しむ光景は沖縄高専で最初の例を目撃して以来、電通大でも、たくさん見ています。

聞き読みの原理? ――「ながら」に通ずる?

リスニングは古来きわめて習得困難な秘技ということになっていました。これまでの常識では、リスニングができるようになるには、単に英文が読めるだけでは不十分で、

   * 一つ一つの音が正確に聞き取れるようになり
   * (音をつなげた)単語が聞き取れるようにになったら、
   * 聞こえてくるのと同じ速さで単語の訳語を見つけ、
   * 文全体の文法解析をし、
   * 日本語に訳しつつ、
   * その先を聞き取らなければならない

と、考えられてきました。

   (上に書いたことができるようになることを、ときには「自動化」などという
    いい加減な物言いで済ますこともあります。耳で外国語を聞きながら、頭で
    そんなにたくさんのことをするなんて、自動化と呼ぼうとなんと呼ぼうと
    人間の頭の能力を超えています。たいていの場合、外国語を聞きはじめて
    5分もすると集中力が切れ、理解をあきらめてしまうか、
    眠ることになります。)

「多読的リスニング(多聴)」の項で書いた多聴三原則は、そうした伝統的外国語学習法の「心理的障壁」を取り除くことを目的としており、中でも意識を集中して聴き取ることをやめようという提案でもあります。

   (従来の学習から離れる手がかりという点で、多聴三原則は多読三原則と
    基本的にはおなじ役割を果たしているとも言えますね。)

ところが多聴三原則の一つ一つを「意識して」実行するのはむずかしい場合があります。その点聞き読みは、一つ一つの音や語にこだわろうにも、音声はどんどん先へ進んでしまいます。意味の取れない部分にこだわろうにも、待ってくれないので、一つ一つの語や文にこだわっているわけにはいきません。必然的に一つ一つの音や語は無視して、「飛ばし聞き」することになります。

ただし、文字にこだわりすぎると音声が吸収されにくくなると予想されます。けれども、目に重点を置くか、耳に重点を置くか、その案配についてはまだ研究途中です。

聞き読みシャドーイングって?

シャドーイングのやり方についてはシャドーイングのページ を見てください。聞き読みしながら、話の内容や朗読の調子が気に入ったら、ぜひ追いかけてシャドーイングをしてみてください。

最初は何気ない感じで、ぼそぼそと小声で、でも乗ってきたら回りに人のいないのを確かめた上で、「なりきりシャドーイング」に切り換えましょう。朗読する人の声の演技、あなた自身の解釈による演技が乗れば乗るほど、外国語の文章と音声の吸収がうまくいくはずです。

     (家でシャドーイングを熱心にやりすぎて、おばあちゃんに「あんた、大丈夫?」と
      心配された人がいます。電車の中でシャドーイングをすると小声でも回りから
      人がいなくなります。(わたしは経験済み)殴られることだってあるかもしれません。
      十分気をつけて・・・)

聞き読みシャドーイングはリスニングの敷居を低くするだけでなく、シャドーイングの敷居も低くしてくれるようです。しかもそれぞれの外国語の音の特徴を自然に身につけることも可能なようです。(わたしの多読クラスの例では可能だと言い切ってよいでしょう。発音練習をしたことがない人たちだからかもしれません。)

「多聴多読マガジン」の創刊号 で、「Kくん」のシャドーイングを紹介しました。Kくんは、およそ30時間ほどでかなり英語の音の特徴を捉えたのでした。それからしばらくはKくんのようにシャドーイングを素直に続けられる人はなかなかいないだろうと予想していました。つまり、シャドーイングは効果が大きく早いけれども、だれにでもできる方法ではないかもしれないと危ぶんでいたのです。

ところが、2007年の10月から聞き読みシャドーイングをはじめた電気通信大学の学生3人が3人とも、2008年の5月には英語特有の音を出せるようになりました。この間、聞き読みシャドーイングした時間は20時間ほどです。そのうち一人にはOxford Bookworms LibraryのStage2の本を初見で音読してもらいましたが、なんと内容に合ったメロディーとリズムでさらさらと音読したのです。(わたしも驚きましたが、本人も驚いていた! 驚きのあまり、わたしは「多読クラス」から「多読多聴クラス」へと大きく舵を切りました。)

電気通信大学の学生の場合はわたしのクラスで聞き読みシャドーイングをするまではほとんど英語の「発音」に気を配ってこなかったという「利点」があります。つまりあなたも、「発音」に関する知識がゼロに近ければ、酒井tadokuクラスの学生のように、聞き読みシャドーイングですばやく英語の音を獲得できるのかもしれません。

聞き読み(+シャドーイング)の素材はどう選ぶ?

いろいろ試してください、やさしいと思われるものからむずかしそうなものまで。上に書いたように、読んで楽しめる本のレベルよりも聞き読みで楽しめる本の方が幅が広いようです。それだけにいろいろ試して、自分に合ったものを積極的に取捨選択していくことが可能です。

素材については「多読的リスニング」のページをそのまま以下にコピーします。参考にしてください。インターネット上に音声と文字の両方が載っていれば、インターネットでも聞き読みを楽しむことができます。

***以下、「多読的リスニング(多聴)」からコピー***

音声素材、特にゼロからはじめられる素材については情報の蓄積がほとんどありません。けれども多読村の図書館サイトや映画館サイトやCD屋サイトでは少しずつ「耳寄り」情報をアーカイブにしていく予定です。みなさんのさまざまな形のお手伝いをお願いします。

いますぐわかっている音源情報を書いておきます。

音声素材のサンプルが聞ければ選びやすいわけですが、最近はなんとそれが可能になってきました。いずれは多読村村立図書館でそうしたサンプルを聞けるようにしたいと考えていますが、当面は多読用図書を出している各出版社のサイトや、audible.com や、gutenberg.com でちょっとずつ聞いてみましょう。多読用図書のサンプルは コスモピア にたくさんあり、聞き読みができます。児童文学の古典はgutenbergや???がいいでしょう。audible.comでは最新の小説の朗読もサンプルで聞けます。iTunes Storeでも聞けたかもしれませんが、調べがつきませんでした・・・

なんといっても聞き読みに「読み聞かせ」の楽しさを付け加えるのは storylineonline でしょう。まだ20冊ちょっとしかありませんが、ハリウッドの俳優が読み聞かせをしてくれます。絵本の画像もあります。そして文章も字幕のように出したり消したりできます。こんなサイトがほかにもたくさんできるといいのですが・・・

そして BBC Radio 7 のこども番組があります。ニュースから本の朗読、ドラマ、ゲームなど盛りだくさんです。英語国のこども向けですからやさしくはありませんが、いろいろお楽しみがあって、「わからないところを無視」できればだれでも楽しめます。そしてそのうち英語の音に慣れてくるかもしれません。

またおなじBBCの World service にはLeanring Englishというサイトがあって、外国人向けにやさしくしたニュースや特集記事を聴いたり、聞き読みしたりすることができます。

最後に無料音源のご紹介を・・・
tadoku.orgでは「こども式サイト」の時代からオックスフォード大学出版局の協力で Wolf Hillシリーズ、Oxford Reading Tree Robins シリーズ、Snapdragonsシリーズの朗読音源を無料でダウンロードできるようになっています。ぜひサンプルとして聞いてみて、おもしろそうだったらダウンロードしてください。くわしくは 無料音源 のページへ飛んでください。

***貼り付け終わり***

なお、無料音源は音声だけですが、本を買って「聞き読み」をすることももちろん可能です :)。

聞き読みシャドーイングの落とし穴!

なお、聞き読みシャドーイングには大きな落とし穴もあります。耳から入ってくる音を繰り返すのではなく、目から入ってくる文字を読んでしまう場合があるのです。その場合は学校英語の音による「音読」になりやすいので気をつけてください。あまり何度も音読をするとカタカナ英語が定着するかもしれません。(これはわたしがかならずしも音読を熱心にすすめない一つの理由です。)

落とし穴に気をつける方法はある・・・

けれども自分の聞き読みシャドーイングがカタカナ英語になっているかどうかは比較的簡単にチェックできます。学校英語で音読すると耳から入ってくる英語よりも音節数が多くなるので(シャドーイングの項で説明します)、せわしいシャドーイングになります。聞き読みシャドーイングをしながら、自分が息せき切って追いかけているかどうかちょっとチェックしてください。

もし比較的気楽に追いかけているなら、聞き読みシャドーイングの落とし穴をうまく避けているかもしれません。その上聞き読みシャドーイングを楽しんでいるとしたら、多読的リスニング、多読的シャドーイングの効果が出やすいかもしれません。まだまだたくさんの例が集まっているわけではないので、みなさんも試してみて、自分の変化を報告してください。

やり方はいろいろ、どうぞ自分に合った楽しみ方を見つけてください。
Happy reading, listening, and shadowing!